9月8日午後、ブレイブベアリーズは午前に引き続き、第3節・3試合目に臨みました。

　雨足は強くなったり弱くなったりを繰り返し、午前の試合前に整備したグラウンドにはいくつもの大きな水たまりが。応急的な処置が施され、13時40分にプレイボールが告げられました。

　対戦相手は、これまで6勝1敗、前半戦で唯一ブレイブベアリーズのみが白星を上げている、現在2部リーグ・アドバンスセクション2位の大和電機工業です。

　1部リーグ昇格を目指し、首位を争う対決。後半戦の大きな山場となる試合です。選手たちは少し緊迫した面持ちでグラウンドに散りました。

先発ピッチャー・藤嶋。
初回に2点を先制される。

　1回表、ブレイブベアリーズの先発バッテリーはピッチャー・藤嶋涼菜、キャッチャー・重石華子です。

　藤嶋は1番バッターにライト前ヒットを打たれ、盗塁でノーアウト2塁とされます。

　2番バッターはピッチャーライナーに打ち取るも、3番バッターにはセンター前に運ばれ1点を奪われます。その後セカンドフライ、死球で2アウト1、2塁としてしまうと、後続にレフト前ヒットを打たれ、さらに1失点。初回に2点を奪われ2-0と先制されます。

中村、重石のヒットも、得点ならず。
藤嶋は再びピンチを迎えるも無失点に。

　1回裏、ブレイブベアリーズの攻撃。1番・中村白がセンター前ヒットを放ち、2番・黒木美佳がバントで1アウト2塁としますが、後続が倒れ得点には至りません。

　2回表、藤嶋は1アウトを取った後、死球、四球、ショートゴロで2アウト2、3塁と追加点を奪われるピンチを迎えますが、次のバッターをライトフライに打ち取り無失点で切り抜けます。

　2回裏には、2アウトから重石がライト前ヒットを打ち、重石に代わってテンポラリーランナー（※）に入った江口裕里が盗塁を決めますが、得点ならず。2-0のまま2回を終えます。

（※）テンポラリーランナー
＝2アウト後、出塁しているキャッチャーの臨時代走を務めるランナー。塁上のランナー以外で、打順が最後に回ってくる選手がテンポラリーランナーとなる。試合のスピードアップを計るため、プロテクターなどを着けるキャッチャーが攻守交代後スムーズに守備に着けるよう採用された制度。

1点を追加され、ピッチャー・山田蓮に交代。
杉山、野木のヒット、安井のホームランで同点！

　3回表、藤嶋は2本のヒットとエラーでさらに1点を許し、3-0とリードを広げられます。

　ここでブレイブベアリーズはピッチャー交代。山田蓮がマウンドに上がりました。1アウト1、2塁とピンチが続く中、登板した山田蓮。しかし後続をセカンドフライ、ファーストゴロと打ち取り、追加点は許しません。

　3回裏、なんとか1点が欲しいブレイブベアリーズの攻撃。この回先頭バッターの杉山まれいがライト前ヒットで反撃ののろしを上げます。2アウト1塁となり、バッターは代打・野木あや。頼もしい代打の登場にスタンドが沸くと、野木は期待に応えるライト前ヒット！続く主砲・安井聖梨奈がバッターボックスに向かうと、スタンドからはさらに大きな歓声が上がります。

　1ボール1ストライクからの3球目、安井が快音を響かせると、打った瞬間に3塁側が沸き立つ大きなスリーランホームラン！主砲の一振りで同点に追いつき、3-3としました。

好投を続ける山田蓮。
重石の盗塁、杉山のヒットで追加点！

　4回表、代打の野木がそのままサードに入りました。安井のホームランでベンチもスタンドも活気を取り戻し、スタンドから山田蓮に送られる「レンレン！レンレン！」のコールも一層力強くなっています。

　大きな声援を受けた山田蓮は、この回1人のランナーを出したものの、他3人を3つの外野フライに打ち取りました。

　4回裏、1アウトから重石が死球で出塁すると、次のバッター・松田愛実が三振する間に盗塁成功！ 2アウト2塁とします。そして続く杉山がセンター前ヒットを決め、1点追加！ 3-4と逆転を果たしました。

白川・山田夏生の継投でピンチを脱出。
松田は芸術的ファインプレーでバックアップ。

　5回表、山田蓮はセカンドゴロ、レフトフライ、ファーストファールフライの三者凡退に打ち取ります。

　5回裏の攻撃では、四球と相手守備エラーで2アウト1、2塁とするも追加点ならず。

　6回表、2本のヒットを打たれ1アウト1、2塁となったところでピッチャー交代。サウスポーの白川果歩が引き継ぎます。白川は交代後1人目のバッターにライト前に運ばれ、1アウト満塁としてしまいますが、続くバッターをサードフライに打ち取ります。

　ここでブレイブベアリーズはさらに継投。マウンドには山田夏生が上がりました。2アウト満塁で迎えたバッターの打球は、センター前に抜けるかと思われましたが、ショート・松田がダイビングキャッチ！さらに2塁に入ったセカンド・黒木にグラブトスで送り、ランナーアウト！

　芸術的な守備で失点を阻止した松田は、ベンチに戻るとハイタッチの嵐で迎えられました。

土壇場で同点に追いつかれる。
試合は延長戦へ。

　3-4のまま、試合は6回裏へ。点差を広げたいところですが、ブレイブベアリーズは追加点を上げられません。

　7回表、勝利を目前に控えたブレイブベアリーズですが、先頭バッターにスリーベースヒットを浴び、さらに犠牲フライで1失点。土壇場で4-4の同点に追いつかれてしまいます。

　7回裏、ブレイブベアリーズの攻撃。1点を取ればサヨナラ勝ちですが、ホームは遠く無得点に終わり、スコアは4-4のまま。

　前半戦でも、大和電機工業には延長戦の末、辛くも勝利したブレイブベアリーズ。後半戦のこの試合も延長戦へともつれ込みました。

さらに松田が2つのファインプレー！
ノーアウト2塁を無失点に抑える。

　タイブレーカー制度で行われる延長戦。前の回の最後のバッターを2塁ランナーとし、ノーアウト2塁からスタートします。

　8回表、大和電機工業の攻撃は打順良く1番から。最初のバッターは手堅くバントで送り、1アウト3塁とされます。そして次のバッターの打球はショートの右後方に上がり、レフト前ヒットとなるかと思われましたが、ショート・松田が懸命に追い、ナイスキャッチ！ 2アウト3塁とします。

　続くバッターの打球もショート後方へのフライ。「取れない！」「落ちる！」とスタンドから悲鳴が上がりますが、またもや松田が執念の追いかけを見せ、間一髪でキャッチし3アウト！ 6回表に続く、松田の2度のファインプレーでタイブレイカーを無失点で切り抜けました。

江口が送り、決めたのは重石！
劇的なサヨナラ勝ちで9連勝！

　8回裏、ブレイブベアリーズの攻撃。2塁ランナーには、俊足・西岡彩乃が代走で立ちます。

　バッターは、8回表の間中、ベンチ裏でバントの練習を続けていたDPの江口。江口は練習通りに確実にバントを決め、1アウト3塁とします。

　続くバッター・重石が狙ったのは、1ボール1ストライクからの3球目。重石のバットから放たれた打球はライト前へ転がり、3塁ランナーの西岡がホームイン！サヨナラ勝ち！

　劇的な同点ホームラン、そして追いつ追われつのシーソーゲームを制したブレイブベアリーズは、無傷の9連勝目を上げました。

＜試合後インタビュー＞

同点スリーランホームラン・安井聖梨奈選手

「3回裏、2アウトになりましたが、野木さんは必ず塁に出て自分に回ってくることは分かっていました。だから絶対に自分が決めようと思っていたのですが、結果が出て良かったです。あのホームランで振り出しに戻り、チーム全体に『ここからやるぞ』という雰囲気ができました。今日は意識していたチームに勝つことができました。明日もしっかり勝てるようにがんばります」

3つのファインプレーで勝利に貢献・松田愛実選手

「序盤はチームが沈みかけていたのですが、安井さんの一発で諦めない気持ちを取り戻すことができました。『まだここから！』『1点ずつ行こう！』と仲間同士鼓舞したことが、勝利につながったと思います。守備からリズムを作って行きたいと思っているので、これからも守備で貢献できるようにしたいです。目指すのは全勝優勝のみです。自分たちの試合をして、勝ちきります」